

更紗は、南蛮船によりインド、ペルシア、シャム、インドネシアからもたらされた。通常は木綿布に手描き、木版染、銅版染、蝋防染で模様を染めつけたものだが、絹やその他の布のものもある。南蛮船が舶載した当時、エキゾチックな動植物がにぎやかに染め抜かれた更紗は、同じく舶来した絣や縞木綿と比較しても、当時の日本的なデザイン観と大きくへだたったもので、異国趣味を象徴する生地として、武将や身分の高いものに独占的に愛用され、茶人の間では「名物裂」としても珍重された。コチニール(サボテンなどに棲むエンジムシ)やラック(菩提樹に棲む虫)から出すエンジ色や、紅花、インド茜などの赤、その他さまざまな南方の植物による濃厚な色彩も新鮮であり、生地としての軽さや、模様のおおらかな描きかたも興味をそそるものだったにちがいない。
更紗の起源はインドにあるといわれる。インドでは、紀元前3000年頃から綿織物がつくられ、紀元前より手描きの更紗が染められた。古代エジプトや古代ローマの貴族も、インドの更紗を愛用していたという。
江戸中期以降、日本でも堺、長崎、天草、鍋島などで更紗がつくられ、庶民のものとなっていった。これらは和更紗とよばれている。和更紗や中国の更紗(印華染)では、先の手法に加え、型紙による摺りこみや、ロウケツ染なども行なわれている。
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