面



能において面は、見るものに強い印象を与え、舞台はこれによって呪術性を帯びる。能面はまさに能の幽玄性や美を象徴するものであり、世阿弥が夢幻能を完成するのに不可欠なものだった。
面の種類は、神聖化された翁を表す「翁面」、老人役に用いる「尉面(じょうめん)」、超人間的な役所が用いる「鬼神面」、人間と人間的な精霊が用いる「男面」および「女面」、人間的な怨霊を表す「怨霊面」に大きく分けられる。作者名の残る面を遡ると、十世紀ぐらいから翁面がつくられ始めたと考えられている。また、13世紀から戦国時代前までは面の創成期であり、鬼、女、翁、尉など種々多様な面が登場し、試行錯誤と創作意欲を感じさせる力強い面が多く残されている。桃山時代から江戸初期にかけては面の完成期であり、桃山時代には、河内、是閑、大宮大和などのすぐれた作者たちが出現する。江戸時代を下るとしだいに能の演出、装束も固定化と様式化をたどるが、能面においても模作の時代となる。なお、現在の能面は450種類もあるといわれる。
能役者は面のことを「おもて」と呼ぶが、これは面を単なる仮面以上のものとして尊重するあらわれであり、また、観客に対する「おもて」(玄関)であり、さらに演じる身体(裏)に対する「おもて」の意味をもふくみをもつものでもある。
狂言にも能と同様に面をつける役所(やくどころ)があるが、神仏や動物、笑いや器量の悪さを強調した特殊な人間の役にのみ用いる。能に比較し、喜怒哀楽を豊かに表し、また、狂言は笑劇の原点というだけあっておかしみのある面持ちのものが多い。超現実的な動物・植物の精霊の面などからは、作者の空想世界の楽しさが魅惑的に伝わってくる。


解説:縫箔唐織摺箔厚板長絹狩衣側次直垂鬘帯・腰帯
夫人の衣武士の衣南蛮好み農民・町人の衣能装束狂言装束



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