陣羽織



陣羽織は、武将たちが戦陣で具足の上に着る羽織で、袖のついたもの、袖なし、マント風などさまざまな形式のものが用いられた。寒さや荒天に備えての実用性ばかりではなく、武将の晴れ着としての偉容を整えるために贅と創意を凝らし、奇抜なデザインが求められた。素材も舶来の染織品が好まれ、なかでもポルトガル人がラシャと呼んだ英国あるいはフランドル産の羊毛織物は、色鮮やかで重厚な材質感が陣羽織に適した素材として好まれた。
ラシャは縮絨・起毛を施し、防寒・防雨に優れた実用性をもつことから戦場で重宝されたが、それはまた、南蛮渡りの文物を身につけるというステイタス・シンボルともなった。当時のラシャは貿易の商品というよりも、ポルトガル人たちが貿易を円滑に図るでよいか。謀るは、謀議を凝らすという感じ)ために日本の大名たちへ贈った贈答品だった。
初期の陣羽織は、南蛮服の影響を受けながら、仕立て方や材料、形状など自由で大胆な発想でつくられた。絹をはじめラシャ、麻、紙、革などを用いて、これに描絵(かきえ)や刺繍、アップリケなどで紋や模様をほどこしたり、鳥獣の毛を蓑毛(みのげ)に植えるなど、珍奇なものも少なくない。しかし江戸時代になると戦陣用の目的が失われて威儀を示すためのものとなり、装飾的要素が多く加わった半面、全体に形式ばり、形状にも模様にも変化のとぼしいものとなった。


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夫人の衣武士の衣南蛮好み農民・町人の衣能装束



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