当時の貴重な記録『日本史』
 イエズス会士フロイスが、ザビエル以来の日本初期教会史として記したもの。第一部が「日本六十六国誌」および「日本総論」一巻と、1549年から78年までの編年史、第二部が78年から89年までの編年史、第三部が90年以降の編年史、という構成である。
文筆の才を認められたフロイスは、1583年秋、日本巡察使ヴァリニャーノから執筆を命じられると直ちに着手し、時には一日10時間も筆を執るなど、この仕事に心血を注いだ。そして、三部作四巻として、フロイスが世を去る1,2年前ころの記述まで進んだ。しかしバリニャーノが原稿を検閲し、冗長に過ぎるとして短縮を要望、ヨーロッパに送付する事を許可しなかった。フロイスは悲嘆にくれ、やがて絶望のうちに他界してしまった。
この大著の原稿は久しくその在処が不明であったが、実はマカオのイエズス会の書庫に久しく埋没し、挙げ句の果てに1835年、火災により焼滅してしまった。したがって、現在、われわれが目にするものは、18世紀にマカオで作成された写本だけである。しかし近年になって、日本で初めて全文を翻訳、『フロイス 日本史』(全12巻)として出版された。
フロイスの著作は彼の書簡同様、織豊時代の研究に不可欠のものである。宣教師の布教活動と成果ばかりでなく、30余年にわたって実際に見聞きした日本社会の諸様相を伝えており、しかも将軍足利義昭、織田信長、豊臣秀吉といった当時の政権のトップにいた人々から庶民にいたるまで、各階層の日本人について幅広く記録されていることである。
キリスト教徒の視点から、いささか偏った記述も見受けられるが、当時を知る貴重な研究資料である。


人物詳細
ルイス・フロイス 

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