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資料の宝庫『言継卿記』
戦国時代に関する本を読んでいて気付くことは、しばしば引用される資料として公卿・山科言継(ときつぐ)が書きつづった『言継卿記』が目に付くことでしょう。この日録には、大永2年から天正4年(1527〜76)にわたる当時の政治・社会・文化について記されています。彼の家は代々、朝廷や公家の衣服・装束をとりまとめ、また雅楽や和歌の奉行を務める家柄でした。さらに医薬の専門知識を持っていたので、知人をはじめ近隣の町衆などにも気軽に診察や投薬を行ないました。
また窮乏する朝廷のために、今川義元、織田信長、徳川家康などの有力大名を訪れては再三、献金の要請をしています。しかし公卿とは言っても、庶民とも気軽に交流し、みずからは清貧に甘んじる生活を送っていました。副業として音曲や舞いを指導したり、蚊帳を質に入れたりと苦労も絶えなかったようです。そのような状況を反映してか、朝廷や公家社会の窮乏ぶり、町衆の自治活動、芸能や文学など目配りは多岐にわたり、きわめて豊富な情報が盛り込まれて興味が尽きません。
なお、次男・言経(ときつね)による『言経卿記』(自筆本35巻)も同様、近世初頭の社会を知るうえで貴重な資料となっています。
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