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「南蛮」ということば
南蛮人といえば、私たちはただちにヨーロッパ人宣教師、ポルトガルやスペイン船の商人を思い浮かべるのが普通です。もともとは中華思想に基づいた「東夷西戎南蛮北狄」という語から採られたもので、南蛮人とは南の方に住んでいる野蛮人といったような意味のことです。しかしながら、このことばが日本の文献に現れるのは意外に早く、10世紀の『日本略記』には九州の太宰府管内の諸地方を南蛮人が荒らした、と記されています。そこに登場する南蛮人とは、じつは奄美大島の人びとであることが明らかになっていますが、15世紀に日本海の若狭に漂着したと記されているのは、東南アジアのジャワ人であることも知られています。
以上のことから判明するには、日本で南蛮人というときは、南方からきた見慣れない外国人すべてを含んでいた、ということでしょう。種子島に漂着したポルトガル人はもとより、奄美大島、インドネシア、インド、ヨーロッパからやってきたすべての人びとをさしたのでした。言い換えれば、日本人の地理概念が拡大するにつれて、南蛮を意味する地域も広がっていったということでしょう。
ちなみに、頭に南蛮ということばが付いた語句は現在でも大変多く、『広辞苑』(第二版)には24、『大辞林』(第一版)には25も収録されています。

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