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出陣に当たってのセレモニー
戦国時代の武将たちには戦いに際して、儀式めいたさまざまな軍陣の作法があったようで、大将たるものそれらに精通し、まちがいなくとりおこなうためかなり神経を使ったようです。
相模の玉縄城主・北条氏繁が息子の氏勝に書き与えた秘伝書には、出陣から合戦後の首実検にいたるまで、88カ条もの作法や心得が具体的につづられています。出陣の膳には「討つ、勝つ、喜ぶ」という意味をこめて「打ちアワビ、勝ち栗、昆布」をそなえることからはじまり、甲冑を身につける作法、城門からの出方、途中で女性と出会った時の対処、また武具や幟、書状などに関して災いを避けるしきたりなどが事細かに決められています。首実検に関する作法も厳しく、首の持ち方、洗い方、切り口のそろえ方、札のつけ方、並べる板の寸法、首を見るときの呪文、敵に首を返すときの入れ物と入れ方などが延々と記述されています。
もちろんこうした作法は北条氏だけに限ったものでなく、今川氏などにも同様のものが残っています。それらには、当時の一般的な作法では三切れ出される昆布を、出陣の膳では「敵をひと切れにする」ため、ひと切れにするといった具合に、独自の解釈を盛り込んで秘伝としたようです。

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