[ウェブマガジン] WEB MAGAZINE vol.007



第4回「芝居・美術と和傘」


01 芝居に登場する傘
02 浮世絵に描かれた傘
03 現代美術と傘


浮世絵に描かれた傘

近頃の若者たちが、「相合い傘」という言葉に対してどういった思いをもつのか知りませんが、そぼ降る雨の中を相合い傘で行くシーンというものは、なかなかに風情があってよいものです。浮世絵の世界では、古来、格好の題材として取り上げられてきました。奥村政信「相傘三幅対」、歌川国貞「三めくりの夕立」、喜多川歌麿「音曲恋の操」などいろいろ挙げることができます。(1、2)
さて、「夜目、遠目、傘の内」といえば女性が美人に見える環境を挙げた有名なことばです。前二者についてはここではコメントを差し控えますが、たしかに傘を肩に置いてさりげなく振り向く決めの
  ポーズは、そこはかとない情趣を醸し出すものです。磯田湖龍斎「雪中黒衣美人」、歌川豊国「初湯之図」、歌川広重「上野不忍池雪の景」など、あだっぽい女の色香を巧みに描いているといえましょう。(3)
このほか、風景画のなかに描かれた傘として、歌川広重や葛飾北斎を忘れるわけにはいかないでしょう。北斎の「新柳橋の白雨」(ウエブマガジン二回目でこの絵を紹介しています)では、突然の夕立に傘をすぼめて橋を渡る人々の様子が描かれ、広重の有名な「東海道五十三次・庄野」「大はしあたけの夕立」でも同様に、すさまじい夕立のなかで傘をさした人物が描かれています。(4)

1. 鳥居清長 制作年不詳
雨中湯帰り


右は、輪が広いふたつ切り蛇の目。左は輪が付いていないが、つくりは右の傘とまったく同じ。
2. 菊川英山 1811年
東都両国雪風景
(三枚続きの一枚)

ふたつ切り蛇の目の相合い傘。浮世絵には、女同士の相合い傘を描いたものが結構ある。
3. 歌川広重 制作年不詳
上野不忍の池雪の景
(三枚続きの一枚) 

これは、軒(傘の外側)に色違いの紙を張った「奴傘」あるいは「奴蛇の目」と呼ばれるもの
4. 歌川広重 1857年
大はしあたけの夕立[部分]


雨の風景といえば、なんといっても広重。平明さのなかにも夕立の
雰囲気がよくでている。




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