雨傘の登場
古墳時代から奈良時代にかけての蓋は、たしかに和傘の祖先と考えられていますが、今日私たちが知っている竹と和紙でできたものとはいささか趣が異なるようです。現在の和傘とほぼ同じようなものは、12世紀に描かれた「源氏物語絵巻」に描かれているものが最初であると考えられています。また、『枕の草紙』にも「からかさ」としてその名が文中に見えます。
時代が下り、鎌倉時代の「一遍上人絵伝」のなかには合羽とともにハッキリと和傘を差している人々が何人も描かれています。形や構造も私たちが知っている傘と同じもので、このころ雨傘としての和傘が制作されていたことが分かります。また、たいへん興味があるのは、この絵巻のなかで、折り畳まれた傘が建物の廊下に置いてある様子が描かれていることです。正徳5年(1715)に発刊された『和漢三才図絵』に、大坂の商人納屋助左衛門がルソン島から持ち帰り豊臣秀吉に献上した唐傘のなかに、自由に開閉できるものがあり、これが「日本初の開閉式の傘」と記述され、以後さまざまな書物に引用され、参考にされてきましたが、じつは鎌倉時代に開閉式の傘がすでに存在していたのです。
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