宗廣力三
戦前〜戦中、青年団を指導し、戦後、若者たちと地元の開拓と郷土研究にいそしんだ宗廣氏は、農家に残る縞帳などを調査して紬づくりを探ります。復活にはげんだ動機のひとつには、当時、地元の女性たちに仕事を生むためだったともいいます。やがて実験的な織りや染めを試み、「どぼんこ染め」「初音絣り」など独自の紬を生み出し、1982年には「紬縞織・絣織り」の重要無形文化財技術保持者として国の指定を受けるに至ります。ここで、宗廣氏の紬織りをひもとくキーワードを少し。
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[エリ蚕]
宗廣氏は、素材の改良に注目し、インド、アッサムの野蚕、エリ蚕(恵利蚕)に目をつけました。これは、絹とウールの長所の特性をもつ蚕。餌としての「神樹(さかき)」栽培からはじめ、やがてエリ蚕の飼育に成功し、紬地の質を改良します。 |
[どぼんこ染め]
染めるとき、糸をくくらずに特別なパッキングで染め液につける独自の染色法。 毛細管減現象で微妙に染まっていくぼかしは、やわらかく深みのあるものになります。 |
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[初音がすり]
ぼかし染めの二重加工や糸の組み合わせで、絣や色を重ね合わせていく宗廣流の織りかた。複雑で奥深い表現を生む手法です。 |
以上、3つの独自の素材と手法を開発し、宗廣氏は地元の織り子とともにさまざまな紬地を織り上げます。微妙なグラデーションをつけたジオメタリックパターンに、さらに縞模様を合わせた菱模様や龍目模様、糸の自由な動きでできた絣のズレをデザインにした「やたら絣」、「心」の文字を重ねた「心の字文」など、この研究所から生み出された繊細で洗練されたデザインは、現代の人びとに新たな感動を呼び起こしました。
97年に開催され、全貌が紹介された「宗廣力三展 心技の妙、現代の紬」(岐阜県美術館/新潟市美術館)のカタログをみると、その技に圧倒されます。残念ながらカタログは完売とのことですが、ご興味のあるかたは、ぜひ図書館などでご覧になっていただければと思います。 |